2011-12-01

石堂先生

横浜にあった映画の専門学校に通っていた2年目、
私は演出ゼミではなくシナリオゼミへと進みました。
しかし、シナリオゼミに講義にやって来る先生方はポンコツばかりで。
ほとんど、興味のある講義が無くて。
毎日、横浜とは逆方向の東京方面へ映画を観に行ったものですが。
唯一、例外的に全講義に出席したのが。
本日、お亡くなりになられたと発表があった石堂淑朗先生の講義でした。
高校生時代、「太陽の墓場」や「無常」なんぞを観て感化されていたので。
もう、目をギンギンに輝かせて講義を聞いたものです。
講義で何を話されたか、今ではさっぱり覚えがありませんが。
安部公房、この方の悪口をずっと話されていた様に記憶しております。
東大文学部ドイツ文学科卒の石堂先生、
卒論のテーマは「カフカ」だったそうで。
詳しいが故に、
安部公房はカフカのパクりで許せないというのが持論でした。
あれから30年余り、
すっかり石堂先生のことなんぞ忘れて生活しておりましたが。
今日その訃報を聞き、
改めて石堂先生が広島出身だったと知って驚きました。
当時から知らなかったのか、忘れていたのか。
「石堂先生、広島県人だったのかあ」と、ひとりつぶやいてしまいました。
ただの偶然か、運命なのか。
縁もゆかりもない広島を、
毎年少なくとも2度は訪れるという生活も早15年。
何を隠そう、石堂先生。
私が初めて会った広島県人だった、という事実に愕然としたのでした。
その後、神足裕司さんと出会い。
広島サンモールという、妙なクライアントと出会い。
数々の広島県人と会ってまいりましたが、
その発端が石堂先生だったというのは。
本当に、感慨深いです。
石堂先生、ご冥福を祈ります。
映画「無常」は、サイコーであります。
イワモケ