2012-12-17

鴨沢BS~雲取山~鴨沢BS

12月13日(木)快晴。
午前7時奥多摩駅発丹波行きバスに乗り込み、
奥多摩の最高峰である雲取山(2017m)を目指しまっする。
日帰りで雲取山に登るなんて無謀なこと、
2年と4ヶ月前の自分には想像もできなかったです。

つまりはその、
青梅に越してから2年と4ヶ月目ですが。
年齢とは反比例して山登り体力がぐんぐんついていますし、
山登りの技術も格段に向上していますから。
そろそろ今シーズンから、
奥多摩の雪山にも挑戦したいと考えています。

只今の雲取山、
山頂付近に若干の積雪がある程度だそうです。
登山靴で登れそうだとも思いましたが、
先シーズン雪の高水三山で試したスパイクピン付き長靴で登ってみようと思います。

雪のない山をスパイクピン付き長靴で登るなんてとお思いでしょうが、
登山靴より実は登り良いのではないかと前々から思っておりまして。
いつか試してやろうと、
そのチャンスをうかがっておりました次第です。

雪のありなしでアイゼン脱着を繰り返すのは大変面倒なので、
アイゼン購入をずっと躊躇している私です。
沢登り用のスパイクピン付き登山靴というのも存在するそうですが、
今回良かったら購入を考えてみたいと思います。

午前7時35分、
標高540mの鴨沢バス停に到着。
一緒に乗車していた5人の登山客たちはもっと奥へと行くらしく、
ここで下車したのは私ひとりでした。

バス停脇に設置された衆議院選挙のポスター掲示板、
全く見覚えのない顔ばかりです。
あれれと、
よくよく見てみると山梨県丹波村とあります。

ああそうか、
鴨沢って東京じゃなくて山梨なんだと改めて認識しました。

バス停脇にある綺麗な公衆トイレで小便をしたり手を洗ったりで、
出発準備を完了したのが午前7時45分。

公衆トイレ横の電柱に設置された道標に従い、
民家の間を登って行くと。
いきなり30匹程のニホンザルたちに出くわしたもんだから、
びっくり仰天でもって後退り。

サルたちは飛んだり跳ねたり、
縦横無尽でやりたい放題。
写真を撮ってやろうと何度もシャッターを押しましたが、
サルたちの動きが俊敏過ぎてまともに撮れたのはこの1枚のみです。
初めて登る中級クラスの山は、
熊との遭遇が心配でどきどきします。

今回、
奥多摩湖のお土産売り場で購入した熊よけの鈴をリュックに付けて来ましたが。
どうも音が小さい気がして心配なので、
いつものようにホイッスルを吹きながら進みます。

ニホンザルに意表をつかれ、
もしかして次は熊かと心細くなっております。
おまけに平日の登山道には誰もいないし、
本当に私はひとりぼっちです。
もしここで熊と出遭ったらというシュミレーションを色々思い描いていたら、
30分程で車道に出てしまいました。

車道を少し進むと駐車場があり、
数台の車が駐車されています。

出発前に参考にしたヤマレコ、
これに掲載されていた記事の多くが鴨沢駐車場スタートになっていた理由がようやく理解できました。
車の人は往復50分程登山時間が短くなるし、
バスの時間も気にしなくていいしで。
鴨沢~雲取山ピストンなら断然車が便利だからなんだなと納得しつつ、
更に進んで小袖乗越に到着。

道標に従って、
再び登山道に入ります。
道筋がしっかりとしていて、
歩き易い登山道です。
1時間程歩くと、
ベニアに「水」「水」とペイントされた貧乏くさい看板。
飲料水はたっぷりあるので、
そのまま通過して。
更に45分程進むと堂所と呼ぼれる小さな平地に着きましたが、
まだまだ先が長いので休まず歩き続けます。

すると左手に雄大な富士山が見え出して、
なんともステキです。
「七ツ石小屋方面近道」の小さな道標に従って、
長い長い急勾配を登り始めます。

急勾配と格闘すること30分余り、
ようやっと七ツ石小屋に到着。
素泊まり3500円の完全予約式山小屋だそうですが、
今日は閉鎖していました。

この小屋から見える富士山と南アルプス、
なかなかです。
七ツ石小屋の前の急勾配を10分程登るとブナ坂に到着、
ここから山火事の際に延焼を防ぐために設けられた幅広の防火帯道を登り始めます。

ここらは昔、
山野草が豊富な所だったそうですが。
増えた鹿に食い尽くされて、
ほとんど絶滅したそうです。

小さなアップダウンを繰り返しながら、
ヘリポートや五十人平を過ぎると町営の雲取奥多摩小屋に到着。
その先に見えるのが、
避難小屋のある雲取山頂へと続く最後の急勾配です。
前を歩いていたグループが雲取奥多摩小屋の前のベンチで休憩していましたが、
私はそのまま歩き続けて最後の急勾配にアタックです。

バス停からここまで4時間弱、
しかしまあ長い。
前半はなんてことのない登りでしたが、
七ツ石小屋への近道と称する急勾配からはかなりキツイコースです。
そしてこの、
最後の急勾配がまたキツイ。

あまりの急勾配の連続で大汗かきかき、
七ツ石小屋の手前からずっとリュックにダウンジャケットをぶら下げて登り続けております。
今日の最高気温は氷点下8℃らいしのですが、
体感として氷点下8℃という実感はまったくないです。

標高540mの鴨沢バス停を午前7時45分に出発した私は、
正午ちょうどに2017mの雲取山山頂に到着しました。
その標高差は1477mで、
登頂時間は4時間15分でした。
4時間もあれば余裕で登れると思っていましたが、
まさかの15分オーバーです。

それにしても雲取山、
さすがに手強いぞと感慨に浸っておりますと。
「すみません、写真いいですか?」と、
またいつものアレです。

他人のカメラのシャッターなんぞ、
ホント押したくはありませんが。
現在山頂にいるのは、
彼と私とふたりっきり。
この状況で「嫌です」と断固拒否するのも逆に面倒ですから、
「はい撮ります、321」でパシャです。

「ありがとうございます、撮りましょうか?」ときたもんだから、
「いやいや私は結構です」とお断りさせて頂きました。

「私は他人のカメラのシャッターを押すのを断固拒否します」
というスローガンを印刷してリュックに貼り付けたいものです。

さすがに立ち止まると山頂は寒いので、
雲取山避難小屋でランチすることにしました。

山頂と避難小屋がこんなに近いのって珍しいなあと思いつつ、
木製の二重扉を開けると先客がひとり。
立派な一眼レフを抱えた初老の男性、
ガスバーナーでお湯を沸かしてカップラーメンを食べようとしていました。

「こんちわ」と挨拶して、
私は長靴を脱いで奥の日が射す窓際に座る。

とはいえ最高気温が氷点下8℃ですから、
部屋の中でも息が白いです。

持参したポットを傾けて簡易カップ式コーンスープの中へお湯を注ぐと、
あっという間に温かいスープの出来上がり。

ガスバーナーのおじさんもカップ麺の準備か完了したらしく、
ズルズル麺をすする音が避難小屋に響きます。

私もスープをすすりながら、
帰りのバスの時間を確認中です。

頂上から雲取山荘へと寄り道して、
雲取山荘から巻き道で小雲取山に戻って下山する予定なので。
余裕のある下山時間を考えると、
雲取山荘から4時間。

13時6分頃に雲取山荘を出れば、
17時6分のバスには余裕で間に合う計算です。

調子が良ければ3時間弱、
16時3分のバスもある。
頂上から雲取山荘まで20分、
食べ終わったらすぐ出発しなきゃです。
なんだかもう忙しいなあ、
着いたばっかなのになあ。
夏ならもうちょっとゆっくりできるけど、
今はもう3時過ぎると暗いからさ。

しょうがないなと立ち上がり、
長靴履き直して「お先で~す」と避難小屋を後にしたのが12時35分。
避難小屋のトイレを借りようと思ったら故障中、
我慢できないこともないから我慢我慢で雲取山荘目指して下山開始。

雲取山荘へと続く登山道はしっかり雪道でしたから、
履いてきたスパイクピン付き長靴で楽しく駆け下ります。
長靴って濡れる心配もないし、
ホント便利。
やっぱり雪道は楽しい、
また機会があればたっぷり雪のある時に雲取山に登ってみたいです。

20分程雪道を下ると、
素泊まり5000円の雲取山荘に到着。
なかなか立派な山荘です、
いつか泊まって雲取山をゆっくり散策したいな。

一旦下りて来た道を戻り、
分岐で小雲取山へと続く巻き道に入る。

こちらは完全な日陰道で、
更にたっぷり雪が残っています。

雪を見たり触ったりすると妙にテンションが上がるのは、
雪国生まれじゃないせいなのか。
スキップしなが駆け下りて、
30分弱で小雲取山に到着。
頂上へと続く最後の急勾配を見上げて、
今からもう1度登るのはもうムリだなとつぶやいてみる。

あとは下るだけだ、
とんとこ行くぜ。

てんでとんとこ下って行くと、
自転車に乗った登山客と遭遇。
すげえ、
自転車担いであの急勾配を登りますか。

うーん、
いろんな人がいます。
長靴で雲取山に登る私もいろんな人のひとりですが、
いろんな人がいるから世の中面白い。

とんとことんとこで、
ブナ坂を過ぎて七ツ石山(1757m)の先の鷹ノ巣山へと続く分岐に到着。
ここから鷹ノ巣山方向へと進み、
鷹ノ巣山を越えて石尾根縦走路で奥多摩駅を目指すことができます。

来春には、
雲取山~奥多摩駅の大縦走を達成したいなあ。
冬のシーズンも引き続き月1ペースの山登りを続ければ、
新緑の春にはすでにもう絶好調間違いなしだ。
5月にいきなり大縦走できるに違いない、
などなどと来春の大縦走に思いを馳せていると七ツ石小屋に到着です。

七ツ石小屋のトイレを借りようと思って、
同じ道で戻ったのですが。
ここのトイレは1回100円で、
おまけに超汚い。
その汚さに尿意も吹っ飛んで、
鴨沢のバス停まで我慢することにしました。

七ツ石小屋の入り口にぶら下げられた500円の記念バッヂ、
山を愛する人に泥棒はいませんからと。
お金はそこの缶に入れろとあるが、
流行の防犯カメラもないし。
売れたバッヂの数と、
缶に入れられたお金の帳尻はきっと合わないのだろう。
それとも500円の中にしっかり含み損が含まれていて、
損はしないようになっているのだろうか。

まあいいや、
別にバッヂなんぞ興味もないし。
問題はバスの時間と小便、
とっとと下りるっぺ。

七ツ石小屋へと続く急勾配、
登りもキツかったが。
大小の石がゴロゴロした足元で、
下りはもっとキツイぞ。

長靴は急勾配に不向きなのか、
足の親指に激痛が走る。
横向きで痛みを軽減して、
どうにかこうにか急勾配を下りたが。
親指が痛くて痛くて、
うまく歩けない。

痛い親指を丸めて、
爪が長靴内側とできるだけ接触しないようにしたら痛みが消えた。
よしこれだと、
親指を丸めたままとんとこ再開。

16時3分のバスに間に合うのか間に合わないのか、
とっても微妙なカンジ。
17時6分だと間に合い過ぎで、
最悪は16時10分くらいにバス停に到着するパターンだな。

17時6分に乗るつもりでゆっくり下ろうか、
いやいややっぱり16時3分だと葛藤しながら下り続け。
駐車場のある小袖乗越に到着したのが、
15時45分過ぎ。

駐車場では、
帰り支度して車に乗り込む2組の登山客たち。
車はいいなあ、
歩きはここからあと20分だぜぇ。

間一髪間で合わないパターンかもしれない、
諦めて丹波村をゆっくり散策してみるかな。

いやいや
もう日も暮れるし。
丹波村を1時間散策なんて、
とっても間がもたない。
ここは勝負、
走れ走るんだってんで。
20分の下りをすたこらさっさと駆け下りて、
なんとか3分前にバス停に到着。

結局薬局の登山時間は8時間15分でした、
バスの時間を気にせずにゆっくり下りたら9時間弱だったかな。

今回のコース、
地図上計算だと9時間20分。
いつもは地図上計算の8掛けなんだけど、
全然8掛けじゃなかったです。

腐っても雲取山、
長靴で登ったらアカンぜよ。

イワモケ

JR青梅線・奥多摩駅→バス→鴨沢BS→小袖乗越→堂所→七ツ石小屋→ブナ坂→奥多摩小屋→小雲取山(1937m)→雲取山(2017m)→雲取山荘→小雲取山→奥多摩小屋→ブナ坂→七ツ石小屋→堂所→小袖乗越→鴨沢BS→JR青梅線・奥多摩駅
距離=26.7km 最大標高差=1477m
[登山時間=約8時間15分]

2012-10-16

酉谷山から秩父鉄道を目指すも挫折

明日は風呂場にカビキラーを撒きたいから、
山にでも行ってちょうだいと嫁に言われましたので。
それではお言葉に甘えまして、
酉谷山(1718m)へ向かうことにします。
10月14日(日)の午前7時25分、
奥多摩駅発東日原行きバスに乗り込み。
終点の東日原に到着したのが、
7時55分。
バス停脇の急坂を30分程登ると、
ニホンザルの生息地らしい所に差し掛かる。

サルはいないかサルはと、
周囲を見回しながら歩くもサルには遭遇できなかった。

地図に記載された時間では一杯水避難所まで2時間30分、
覚悟して登り続けたが。
あっさり1時間30分で、
一杯水避難所に到着。

後半バテないようにと、
ゆっくりじっくり登ったつもりだが。
1時間30分で登れたのはおそらく、
地図の方が間違っているのでしょう。
先程、
私を後ろから追い抜いて行ったトレイルランな彼。
一杯水避難所前のベンチに腰を下ろし、
熱心に地図を見ていたが。
私が到着してベンチに荷物を下ろすと、
立ち上がって蕎麦粒山方向へ向かった。

蕎麦粒山(1472m)を抜けて、
桂谷ノ峰~日向沢ノ峰~曲ヶ谷北峰~川苔山(1363m)というのも1度歩いてみたいものだ。

頭に巻いた日本手拭と首に巻いたタオルをおニュウに取り替え、
さあ先を急ごう。

ここから天目山(1576m)へは、
2ルートあると地図に書かれているが。
1ルートしか見当たらず、
そのまま進んだ。

30分程歩くと天目山(三ツドッケ)こちらの道標があり、
頂上を目指すには一杯水避難所方向へ戻る形で登らなくてはいけないらしい。
仕方なく頂上へと続く脇道へ入り、
急坂を20分程登るとそこは天目山の大パノラマ。
しばらくひとり、
雄大な山容を眺めていたら急にお腹が空いて。
昼食とは別に、
予備で持ってきた蒸しパンを食べる。

ここはいい、
実にいいと。
天目山の大パノラマをひとり占めしていると、
私が登って来た登山道とは真逆の方向から肩で大きく息をしながらおじさんが現れた。

この道はどこからの道ですかと尋ねると、
一杯水避難所の真裏から入る道だと教えてくれた。

そうか、
もうひとつのルートは避難小屋の真裏にあったのかと納得していると。
早速で大変申し訳ないが、
シャターをお願いとカメラを手渡される。

はい撮ります、
123でパシャだ。

昔はこういうの、
かたくなに拒否して嫌ですと断っていたが。
もう断る方が大変面倒なので、
123でパシャだよ。

おじさんに続いてあと2人(男性)、
狭い頂上が混み合ってきたので本線に戻ることにする。

大栗山(1591m)と七跳山(1651m)の山頂がどこにあるのかも分からず、
いつの間にか酉谷避難小屋まで来てしまった。
滝谷ノ峰との分岐を山頂方向へ15分程進むと、
東日原から約4時間で酉谷山に到着。
東日原の標高が620mだから、
1098m登ったことになる。
記念に酉谷山からの山容を撮ろうとカメラを取り出したら、
首から下げていたカメラ用のストラップの紐がプツリと切れた。

これは何か不吉な暗示だろうか、
嫌な予感を抱えつつ。
誰もいない山頂でひとりお昼を食べるていると、
北側から吹く風が大変冷たくて軽い便意を催す。

誰もいないから平気、
その辺で野糞。
というワケにもいかず、
酉谷避難小屋まで戻ってトイレを借りることにする。

急ぎ足ではあるけれど、
下っ腹を刺激せずの早足でもって酉谷避難小屋へちびらず無事到着。
小屋のドアを開けると、
木の匂いがなんとも心地良い。
トイレは小屋を抜けた奥にあって、
和式だが清潔なステンレス製だった。

便を済ませて晴れやかな気分で小屋を出ると、
大きなリュックを背負ったおじさんが立っている。

昨夜は雲取山の避難小屋に泊まったが、
25人がとぐろを巻いて寝るという大変な混雑っぷりだったそうな。
奥多摩へは初めて来たが、
大変気に入ったので連泊して帰ろうと思う。
それで雲取山から滝谷ノ峰を抜けて、
ここまで来たと言う。

気に入ったから避難小屋で連泊か、
ある意味とても贅沢な大人の時間だな。

それではと、
雲取おじさんに別れを告げ。
もう1度、
酉谷山の山頂へ戻ったのが12時30分。
大血川峠を抜けて、
秩父鉄道の白久という駅まで行こうと思う。

ただ、
地図のルートは点線で一部不明瞭とある。
酉谷山山頂には大血川峠への道標はなく、
秩父登高会なる山岳会が付けてくれた黄色いリボンがあるのみだが。
その黄色いリボンや枝に巻かれたビニールテープを信じて、
どんどん下る。

目指す白久という駅は真北にあるワケだから、
目印のない箇所は磁石を頼りに北へ北へと向かえばなんとかなる。

そう思いながら北へ北へと下り続けること30分、
遂に目印のリボンもビニールテープも見当たらなくなってしまった。
戻るにしても下りて来た道はかなりの急坂、
あれをまた登るのかと思うとぞっとする。

よし、
北へ向かって進もう。
北へ向かえばきっとどこかで登山道と合流できる筈だと、
急な崖を駆け下りたのが大ミステーク。

思い返せばあれがターニングポイント、
目印を見失った所で引き返すべきでした。

でまあ、
結局そこからあと30分。
更に急坂を下り続けている途中、
方位磁石に水が入っていることに突然気づいた。

もしかしてこの磁石、
くるくるぱあだったのか。

このまま進めば遭難間違いなしだ、
下りて来たあの崖をよじ登って酉谷山まで戻るしかない。

磁石がくるくるぱあなので、
戻る方角がずれる可能は大いにあるが。
とにかくピーク、
ピークを目指して登り続けてみよう。

崖のような急坂と格闘すること1時間、
目印のビニールテープを遂に発見。

ああ助かった、
これで遭難は免れた。

そこから更に1時間、
必死に登って酉谷山の山頂に戻ることができた。
時刻は15時30分、
東日原からの終バスは18時55分発。
残り時間は3時間55分、
地図の記載時間は4時間15分。
これなら間に合う、
朝来た道をまるっきりの逆戻りなら迷う心配もない。

そうと決まれば、
酉谷避難小屋へもう1度立ち寄って。
頭に巻いた汗まみれの日本手拭と首に巻いたタオルをおニュウに取り替え、
小便して手を洗って下山するぞと。

避難小屋へ立ち寄ってみると、
あの雲取おじさんが山を見ながら美味そうにタバコを吸っていた。

今から下山しますと私が言うと、
なんだ泊まらないのかと寂しそうな雲取おじさん。

確かにこの避難小屋にひとりじゃ、
ちょっと心もとないな。

知らないおじさんと避難小屋で一夜を共にするって、
素敵なのか素敵じゃないのかよくわからないけど。

着替えも食料もないから帰ります、
お互い様でお気をつけて。
今朝の雲取山では見られなかった御来光、
見られるといいですね。

アディオス、
見知らぬ人よ。
奥多摩を気に入ってくれてありがとうで、
お名残惜しくお別れをして。

さてさて大急ぎ、
終バスに乗り遅れたら奥多摩駅まで歩かなきゃだぞ。

てんでこう、
トレイルランよろしくたったかたったか駆け下りて。
1時間30分で一杯水避難小屋に到着、
分からなかった天目山(三ツドッケ)の登山口を確認して。
辺りはもうすぐ真っ暗になりそうだから、
避難小屋でヘッドライトを装着して再出発。
ヘッドライトで登ったことはあるけど、
下るのは初体験です。

やっぱり下りの方がつらいです、
足元がおぼつきません。

途中、
崖を駆け下りる鹿と遭遇したけど。
熊じゃなくて良かったです、
熊じゃなくて。

怖い怖い、
このヘッドライトの電池が切れたらどうなるんだろう。
予備の電池とか持ってないし、
考えれば考えるだけ怖くなる真っ暗闇の山ん中っす。

まだかまだかで、
暗がりを転がるように下りて18時10分。
無事、
東日原のバス停に到着したが。
ちょっと急ぎ過ぎたようです、
終バスまで45分もあります。

当然ながら、
バス停には誰もいない。

バスは本当に来るのだろうか、
バスが来なかったらどうしよう。
電話番号とか書いてないし、
心配だなあと45分待っていたら来ました終バス。

暖房であったかな車内、
やれやれと椅子に座って一安心。

450円でタクシー代わりに使って大変に申し訳ないが、
この終バスがあってホント命拾いした。

このバスがなかったら、
どうなっていたんだろう。

おそらく一杯水避難所から蕎麦粒山を抜けて、
桂谷ノ峰~日向沢ノ峰~曲ヶ谷北峰から青梅線の鳩の巣駅へ下るしかなかっただろう。

計算すると、
一杯水避難所から5時間10分。
鳩の巣駅到着予定時刻は22時10分頃、
ということになるなあ。

結局薬局の登山時間は14時間10分か、
これはかなりキツかっただろうなあ。

カメラのストラップの紐が切れるとか、
急に便意を催すとか。
考えてみけば、
何度も警告が発せられていたワケだ。

神様ってやっぱいるんだなあと、
しみじみ痛感する寒露を過ぎたある秋の日曜日でした。

迷ったら すぐ引き返せ 山の人

イワモケ

[登山時間=約10時間10分]

2012-09-24

倉戸口~倉戸山~鷹ノ巣山~石尾根縦走~奥多摩駅

加藤文太郎という、
「単独行」でお馴染みの明治生まれの登山家。
槍ヶ岳冬季単独登頂や、
富山県から長野県への北アルプスの単独での縦走など。
単独行で、
数々の積雪期単独登頂を果たした方ですけど。

1日12時間の山歩き、
これを1週間続けるとか。
もう、
とんでもない体力の持ち主だったようです。

さすがに近々51歳の誕生日をむかえる私に、
12時間歩行を1週間は不可能でしょうが。
訓練次第では1日12時間の山歩き、
可能かもです。

昔々は、
4時間程度の山歩きで膝が痛くなっていた私。
それが今では、
5時間6時間歩いても余力を残してた下山できるようになりました。
更にこの調子で9時間10時間11時間12時間と山歩き時間を延長できれば、
かなり辺鄙な山からでも日帰り大縦走ができて素敵ですから。
12時間の山歩きをしても無事生還できるような体力と技術を身に付けるべく、
特訓を開始しようと思う次第です。

その第1弾は、
倉戸口から倉戸山(1169m)を抜けて鷹ノ巣山(1736m)に登頂し。
水根山から城山、
六ッ石山を抜けて石尾根を奥多摩駅まで縦走する。
距離=約21km最大標高差=約1375mのコースを、
登山時間8時間20分目標でがんばりまっする。
9月22日の旗日は生憎の曇り空でしたけど、
気温はぐっと下がって涼しく快適でした。

8時35分発の鴨沢西行きバスは大盛況のため、
1台増発したのに超満員です。

立ったままバスに揺られて約20分、
倉戸口というバス停で初めて下車しました。

バス停にはおじいちゃんの隊長と数名のおばあちゃんの登山部員が、
地図を広げて困惑顔。
それでいきなり、
おじいちゃん隊長に倉戸山の登山口はどこかと尋ねられましたが。
こちらも初めてなので、
その旨お伝えしますと大変がっかりしたご様子。

バス停近くに「倉戸山こちら」の道標が見えましたので、
このまま道なりに進めばよろしんじゃないでしょうかと告げまして。
絡むと厄介そうだったので、
そそくさ先を急ぎます。

道なりに進むと「倉戸山こちら」の道標がいくつもあって、
問題なく登山口である「温泉神社」に到着できました。
これならまあ、
先程のおじいちゃん隊長も迷うこともないだろうと一安心。
本日は熊の生息地域にお邪魔するわけですから、
熊よけに笛をぶら下げて参りました。

初っ端の急坂を登り始めると先の方で物音がする、
念のためと思って強く笛を吹いて熊に挨拶してみたら。
物音は熊じゃなくて、
7人程のグループ老人たちが登る足音でした。
しかし皆さんお耳が遠いのか、
全く笛の音に反応しない。
耳の遠い老人熊には、
音で警告を発しても効果がないかも知れないぞと少々不安になりましたが。
まあ心配しても仕方がないから、
熊に遭遇しないことを祈りつつ。
お先に失礼しまっすると、
老人の皆さんを追い抜いて先を急ぎます。

急傾斜のキツい登りに大汗流し、
倉戸山に到着したのが登山開始から1時間15分。
このペースなら、
鷹ノ巣山頂でお昼を食べられそうだと安心して更に先へと進みますが。
この辺りから霧が立ち込めて、
なんとも幻想的な世界になってまいりました。
霧に包まれた風景が面白くて、
夢中で写真を撮っていたら。
登山開始から3時間と10分、
あっという間に鷹ノ巣山に着いちゃった。
だがしかし、
この霧と曇り空のために見えるはずの雄大な景色はさっぱり見えない。
鷹ノ巣山の頂上プレートもなんだか素っ気なくて、
すっかり拍子抜けです。

道標の前で地図を広げてルート確認していたら、
稲村岩尾根方向から登ってくる女性登山客がひとり。

この稲村岩尾根というのは、
奥多摩3大急登りのひとつです。
これの他に、
以前登って死にそうになった本仁田山と。
六ツ石山の南側、
水根集落からトオノクボの急登りがあるそうです。

いつかこの奥多摩3大急登りを制覇しようと思っておりますが、
本仁田山がホントにキツかったので躊躇しています。

で、
どうなのよと。
稲村岩尾根方向から登って来た女性に挨拶して、
登りのキツさを尋ねてみたら。
確かに急ではあるが、
ギブアップしたくなるような急登りではないとおっしゃる。

そうか、
それならば是非ちゃんれんじせねば。
ありがとうございますと一礼して、
適当な場所を陣取ってお昼にします。

お昼と言っても最近は、
ヤマザキの5個入り薄皮あんぱんで済ませております。
腹持ちも良く、
糖分も補給できて一石二鳥です。
おまけに安いし嵩張らないしで、
大変重宝しております。

がしかし、
山頂で素っ気なくアンパンなんぞ食べてるのは私だけで。
他のみなさんは、
ガスバーナーでインスタントラーメンなんぞ作って食べていらっしゃる。

先程、
稲村岩尾根について話してくれた方。
この方までも、
いつもの間にか用意したカップ麺なんぞをすすってらっしゃる。
確かに山頂は肌寒いくらいだけど、
ここに来てまでラーメンかい?

と、
毎回この光景を目撃する度に違和感を覚えるのは私だけなのでしょうか。
まあ好き好きだからいいですけど、
それではみなさんさようなら。
先程の女性にも挨拶して、
鷹ノ巣山避難小屋へ向かってみることにします。

あえて鷹ノ巣山避難小屋へ出て、
巻き道で水根山に戻ろうと思います。
このまま鷹ノ巣山避難小屋を越えて歩き続ければ雲取山に到着するわけで、
それもいいなあと一瞬ルート変更も考えましたが。
雲取山から下山して、
いつ来るとも知れぬバスを待つのは勘弁なので。
予定通り、
このまま奥多摩駅を目指すことにします。

鷹ノ巣山避難小屋は御前山の避難小屋と同じような作りで、
とてもきれいです。
いつか遭難したらここに泊まらせていだきます、
その時はひとつよろしくお願いします。

水根山から城山、
将門馬場とを抜けて六ツ石山分岐に出ました。
ここをトオノクボ方向へ下ると例の奥多摩3大急登りです。
まあ、
この場合は急下りですけど。
そんな恐ろしい急坂を下るわけもなく、
通り越して先へと進みます。

霧は更に濃くなって、
3メートル程しか先が見えません。
突然前方に登山者が浮かび上がって、
こんにちはとお互い挨拶する。
一間置いて、
後に振り向いて見てみるともう見えません。
なんだか幽霊と遭遇したみたいでとっても面白い、
これはもう「雨月物語」の世界です。
話は変わって私が高校2年生だった頃の話、
友人たちと野沢温泉へスキーに出かけましたが。
私は生まれてはじめてスキーを滑るというのに、
スキーのうまい悪友たちにいきなり上級者コースに連れて行かれた。

滑るのは問題なかったのですが、
止まることができない。
何度も何度も転んだ後、
とんでもなくひどい転び方をして。
レンタルスキーの板と靴がうまく外れてくれず、
呆気なく左足首を骨折してしまいました。
その骨折のせいで陸上部も退部し、
偉大なスプリンターになる夢を諦めましたが。
それからどうも左脚をかばうようになって、
右脚に比べて左脚の筋肉の付きがよろしくない。

これが原因で4時間5時間と山を歩き続けますと、
左脚の膝裏がちょいちょい痛くなる。
今日も徐々に痛くなってきて左脚を右脚でかばうものだから、
右脚の付け根までも痛くなってくる始末。

12時間歩き続けるためには、
この左脚問題を解決する技術と筋肉が必要です。
筋トレとか嫌いだけど、
左脚中心の筋トレを開始して右脚と同じ太さの筋肉を作り直す必要があるのかも知れません。

三ノ木戸山(1177m)を越えると、
かなり足元がぬかるんだ道。
危ない危ない滑る滑ると慎重に下っていたのにもかかわらず、
見事にすってんころりで泥だらけ。
登山開始から約6時間、
さすがに疲れているのでしょうか。
踏ん張りきれなかった自分を情けなく思いつつ、
もっと疲れない下り方を会得しなくてはいけないぞと強く反省するのでした。

今日も元気にトレイルラン、
彼等は短パンいっちょうで駆け下りて行きます。
山の中を30キロも平気で走る、
彼等のスタミナにはホント頭が下がります。

では私も真似をさせていただいてと、
ぬかるんだ下り坂を駆け下りてみましたら。
こちらの方が接地時間が短くて、
転ぶリスクが少ない。

おう、
まだまだ元気があるじゃないか俺。
さあラストスパートだぜぃと、
そのまま調子に乗って駆け下りましたら。
あっという間に登山道は終わり、
奥多摩駅に向かう舗装道路に出ました。
この道は奥多摩駅のどこへ出るのだろうと考えながら下り続けますと、
「タイムズマート」という超マイナーなコンビニの脇に出ました。
ああそっか、
ここに出るのかと感心しつつ。
奥多摩駅に到着したのが、
登山開始から7時間10分。

ここから更に5時間近く歩いて12時間か、
そう考えるとぞっとしますが。
プラス1時間プラス1時間とコースを延ばしてゆけば、
きっといつかは12時間歩けるようになる筈です。

60、70になっても山で遊べるように頑張りまっする。

イワモケ

毎日の 鍛錬大事 蟻歩み

JR青梅線・奥多摩駅→バス→倉戸口→温泉神社→倉戸山(1169m)→榧ノ木山(1485m)→水根山(1620m)→鷹ノ巣山(1736m)→鷹ノ巣山避難小屋→水根山→六ツ石山分岐→三ノ木戸山(1177m)→JR青梅線・奥多摩駅

距離=約21km 最大標高差=約1375m

[登山時間=7間10分]

2012-07-04

下から富士山に登る

今年の夏は日帰りで富士山に登ろう、
と思い立ったが。
ご来光渋滞に巻き込まれるのは最悪なので、
夜間じゃなくて日中登ろうと思う。
往復で約10時間かかるらしいので、
その前に予行練習です。

てなわけで、
中央道日野から富士五湖線高速バスに乗って富士山駅へ向かうことにしたのですが。
この聞き慣れない富士山駅、
昨年の7月1日に富士吉田駅から改称されたばかりだそうです。
午前9時32分、
予定通りバスは1時間20分程で標高850mの富士山駅に到着。
ここから北口本宮富士浅間神社を抜けて、
標高2386mの六合目まで登ってみようと思います。
その標高差は1536m、
まあ予行練習としてはちょうどいいところですね。

金鳥居を抜けて約30分、
浅間神社に到着。
神社の脇を通り抜けると吉田口遊歩道に出ます。
2006年、
一時は荒廃していたかつての富士登拝道を整備して復活させた遊歩道だそうです。

いにしえの 富士講登山 いみじみと

なんてイメージだったのですが、
この遊歩道が実に単調でつまらない。
じわじわと、
微妙な登りがだらだら真っ直ぐ真っ直ぐ続く。
前を見て歩くと延々続く真っ直ぐな道に滅入ってしまうので、
足元を見て歩き続けました。

これを約90分、
「つまらん、つまらん」とつぶやきながら歩き続けますと中の茶屋に出ました。
ここから足元は舗装道に変わって、
時々横を車が通過して行きます。

これをまた約90分、
だらだら真っ直ぐ真っ直ぐ歩き続けますと。
やれやれようやっと、
標高1450mの馬返しに到着です。
しかしまあこの吉田口遊歩道、
あまりおすすめできません。
富士山駅から馬返しまでバスか出ているようですから、
これに乗るべきでしょう。
延々と真っ直ぐ続く遊歩道、
それも緩かに登り続けているので妙な疲れ方をします。
さほど景色も良くもありませんし、
などなどと心の中で文句を言っておりますと。
罰が当たったんでしょうか、
パラパラと雨が降ったてまいりました。

お腹も減ったし、
座るところを探してお昼にしたいと思います。

馬返しの駐車場を抜けて、
階段を上がると今は営業していない茶屋がありました。
「よかったら麦茶をどうぞ」と、
笑顔で誘ってくれたのは2名の観光協会ボランティアさんです。
座っていた先客の西洋人さんにも挨拶して、
ベンチに腰を下ろしました。

「山頂へ行かれますか?」と聞かれたので、
「いえ、今日は六合目までです」と私。
すると先客の西洋人さん、
麦茶を飲み干して立ち上がりました。
彼は今回、
二泊三日でゆっくり富士山を満喫するそうです。
二人のボランティアさんにお礼を言って、
その西洋人さんは登って行きました。

「やっぱり日帰りは厳しいですかねえ」と聞いてみると、
ボランティアさんのひとりが10年程前に昼間の日帰りをやられたそうです。

お鉢巡りなしの剣ヶ峰往復で、
やっぱり10時間。
帰りは膝がガクガクで、
かなりきついとのこと。
その代わりご来光狙いの夜間登山とは違って、
昼間はさほどの混雑はないそうです。

軽いお昼を済ませ、
雨合羽の準備をしていよいよ富士登山開始です。
「ゴミもどうぞ」と、
ボランティアさんが広げたゴミ袋へ食べたお昼の残骸を入れさせてもらって。
「ごきげんよう」と二人に別れを告げ、
歩き出したのはいいけれど。
止むどころか、
雨はいよいよ本降りです。
15時過ぎからパラパラと小降りの雨、
の予報だったのに。
ああしくじった、
今日じゃなかったと後悔しながら標高1700mの二合目廃墟に飛び込んだ。

廃墟にはまた、
先程の西洋人さんが先客で雨宿り中。
しばらく二人して、
雨の様子をうかがってましたが。
この雨、
止みそうにない。

富士の雨、
これも風情。
とはさすがに思えなが、
こうなったら雨を楽しむしかない。
しっかり水分補給して、
「ごきげんよう」と出発した。

登りはさほど急ではないが、
標高のせいか。
それともあの吉田口遊歩道のボディ・ブローのせいなのか、
結構足が重い。

それにしてもトレイルランな人々は凄いな、
先程から元気に駆け下りて来る数人と挨拶したが。
その顔をよくよく見てみると、
皆さん結構なお歳のご様子。
ほんと、
大したもんです。

降り続く雨もさほど気にならなくなり、
雨のお陰で大量に発生したマイナスイオンを吸い込みつつ標高2010mの四合目を通過。
さてどうしたものか、
六合目まで登るのを取り止めて。
五合目から脇へそれ、
富士スバルラインへ向かおうか。
そうすれば、
15時の新宿行き高速バス最終便に間に合うかも知れない。

よしそうしようと決めて、
ピッチを上げる私。
標高2300mの五合目で登山道を右にそれて、
スバルラインへと向かう舗装道路を大股で進むと。
単独行登山客らしき、
ひとりの西洋人さんに道を聞かれた。
新宿に帰りたい彼は逆方向へと向かっていたので、
こっちこっちと一緒にスバルラインへと向かう。

またしばらく大股で進むと、
六合目へ向かう登山道の入り口に団体登山客。
今日は七合目か八合目の山小屋で仮眠して、
ご来光アタックですね。
くわばらくわばら、
やっぱり私は日中の日帰りを目指します。

富士山駅を出発してちょうど5時間、
標高2304mのスバルラインのバスのりばに到着。
その標高差、
1454mです。
剣ヶ峰の標高は3775mだから、
五合目からの標高差は1471m。
標高差はほぼ同じですが、
気圧と直射が体力を消耗させるのでしょうね。

今日のコースはガイドブックによると7時間、
これを5時間で登れましたので。
五合目と剣ヶ峰の往復も、
なんとか7時間くらいでおさまらないものかしら。
帰りのバスの時間があるので、
7時間目標で往復したいな。
その為にはもう少しパワーが必要です、
富士登山1週前に奥多摩で調整登山をした方が良さそうです。
標高1736mの鷹ノ巣山、
調整に絶好かも知れない。
まだ登ってないし、
登っちゃおうかな。

富士急行のチケット売り場で15時発新宿行き最終バスのチケットを購入して、
近くの食堂に入った。
350円のホットコーヒーを頼んで、
食堂の片隅で着替えをさせてもらった。
ここまで本格的な雨の登山は初体験でしたが、
慣れると雨って気になりませんね。
雨に慣れれば、
大人の山も平気です。
来年はひとつ、
北岳あたりを目指そうか。

などなどと、
富士山を飛び越えて北岳に思い馳せておりますとバスの出発時間。
食堂を出てバス乗り場に向かいますと、
新宿行きの最終バスは西洋人さんばかり。

途中で道に迷っていた、
あの西洋人さんはいるかしらと探してみたが見当たらなかった。

バスに乗り込んで、
見渡してみたら私が唯一のアジア系です。

どうしたんでしょう?
西洋方面で、
富士山が大ブレーク中なんでしょうか?
背中に大きく「富士山」とプリントされた赤いトレーナーを着た西洋男子、
そのトレーナーが妙にお洒落で欲しいなと思った次第です。

8月の日帰り富士登山、
頑張りまっする。

イワモケ

富士急・富士山駅→北口本宮富士浅間神社→東富士五湖道路→中の茶屋→馬返し→一合目→二合目→三合目→四合目→佐藤小屋→泉ヶ滝→富士スバルライン五合目

[登山時間=約5時間] 距離=14.2km 最大標高差=1538m

2012-03-02

雪山で、ニホンカモシカくんに2度出会う

平日だけど、
これがラストチャンスかも知れないので、
行って参りました、
雪の高水三山。

マタギはピンスパイク付きの長靴で、
道無き山道を歩き回っていると図書館の本で知り、
ピンスパイク付きの長靴を私も試してみる事にしました。
御岳駅で下車して北側の急登りから、
まずは惣岳山を目指して登り始めたのが午前10時前。
御岳駅から、
惣岳山(756m)→岩茸石山(793m)→高水山(759m)ですと、
大変しんどいので断然皆さん、
軍畑駅スタートで高水山→岩茸石山→惣岳山みたいです。

私は御岳駅スタートの急登りの方が好きで、
今回これで3度目です。

という訳でこちら側には誰もいません。
ひとり、
ふわふわの雪道を長靴で登ります。
長靴で山歩きって、
ちょっと心配でしたが意外と快調です。
アイゼンを装着した事はないけれど、
長靴でも充分登れますね。

約90分大汗かいて、
まずは惣岳山に到着。
少々休憩をして、
絶景の岩茸石山を目指して出発しますと、
難所の岩場下りです。

今日は岩肌が雪に覆われていて、
滑りやすくて危険です。
慎重に岩場を下って更に40分程歩くと、
やれやれ岩茸石山です。

岩茸石山頂で本日初、
初老3人組の登山客と遭遇しました。
ベンチに腰掛けて、
大汗拭いつつ水分補給をしながら、
遠くに見える山々を眺めれば、
ホント生きてます俺ってカンジです。

元旦以来の登山で、
ふくらはぎに軽いハリです。
実は途中、
道を間違えて、
登山道ではない超急登りを登ってしまいました。
途中で間違えた事に気付きましたが、
そのまま強引に登ってしまったので、
ふくらはぎに軽いハリです。

やや筋肉痛気味ではありますが、
思った以上に長靴が快調で、
これならまだまだ歩けそうです。

高水山を抜けて下山したら、
榎峠から雷電山に入って、
青梅丘陵ハインキングコースを抜けて青梅駅から帰ろう。

そう決めると、
まだまだ先が長いので、
ふわふわの雪道を飛び跳ねながら下山。

途中でトレイルランな方とすれ違いましたが、
ホント色んな方がいますね。
雪の高水山常福院を散策して、
皇太子殿下と雅子妃の新婚時代を思い出しながら高水三山を無事下山。
一旦東京都道193号に出て、
軍畑駅とは反対方向へ上がって行くと、
右手に雷電山方面の道標があります。
その脇から入山しようとすると、
その隣に 「雷電山付近で熊が目撃された」という注意喚起の看板です。

雷電山に熊なんかいるのかなあ?と、
首を傾げてみましたが、
鈴も笛も持っていないのでやっぱり心配です。

しょうがないから 時々、
奇声を発しながら登る事にしました。
相変わらず誰にも会わず、
ひとり雪道を40分程登りますと、
ザザザッと強い物音です。
熊か?と立ち止まって身構えますと、
1頭のニホンカモシカくんがじっと私を見ている。
奥多摩の本仁田山周辺にはいるらしいとは聞いていましたが、
まさか青梅の雷電山でニホンカモシカくんに出会えるとは。
ホントびっくりです。

熊には会いたくないけど、
ニホンカモシカくんなら大歓迎です。
ニホンカモシカくんは好奇心が強くて、
人間を見学するために、
わざと近づいて来る事もあるそうです。

きっと私に興味を示して、
近づいて来てくれたんでしょうね。

あんまりニホンカモシカくんの顔が可愛いので、
しばらく見入ってしまいました。
ニホンカモシカくんの方も、
身じろぎもせずにじっと私を見つめ続けています。

私が少し歩くと、
ニホンカモシカくんは首だけ動かして見続けます。
恐らくずっと、
このまま見つめ合い続けても、
ニホンカモシカくんは逃げないんでしょうね。
ホント不思議でカワ(・∀・)イイ!!ですコイツ。

こうやって、
ずっと見つめ合ってる訳にも行かないので。
ニホンカモシカくんにごめんなすってと一礼して、
先へ進む事にします。

それにしても、
雷電山へ足を延ばして正解でした。
ニホンカモシカくんに会えるなんて、
こんなチャンスはなかなかないぞと。
ほくそ笑みながら更に30分程進みますと、
またザザザッです。

熊か?と立ち止まって身構えますと、
別のニホンカモシカくんがこちらをじっと見ている。

こんな事って本当にあるんだろうか?
立て続けに2頭のニホンカモシカくんと、
奥多摩じゃなくて青梅で出会うなんて。

面白いから、
またしばらく見つめ合って、
笑ったり、
面白い顔をしたりしてみましたが。
ニホンカモシカくんは、
キョトンと無表情で私を見つめ続けるばかりです。

それではさようならと、
今度は手を振って、
2頭目のニホンカモシカくんともお別れして、
無事下山しました。

 カモシカに 好かれる俺は 男前

イワモケ

JR青梅線・御岳駅→惣岳山(756m)→岩茸石山(793m)→高水山(759m)→榎峠→雷電山(494m)→辛垣城跡→名郷峠→三方山(454m)→青梅丘陵ハイキングコース→JR青梅線・青梅駅
[登山時間=約6時間] 距離=15.8km 最大標高差=556m

2012-01-03

初日の出

午前3時35分、
「武蔵御獄神社初日の出号」に最寄り駅の河辺から乗車する。
車内には山ガールと山親爺、
へべれけ朝帰りと初詣に向かうらしき大学生風の若者たちで混み合っていた。
午前3時57分、御獄駅に到着。
改札を抜けて、バス乗り場に向かうと長蛇の列。
すし詰めのバスに揺られて、なんとか滝本駅に到着。
ここからまた、すし詰めのケーブルカーに乗って。
御岳山駅に到着したのが、午前4時35分頃。
御獄神社の脇を抜けて、いよいよ「奥の院周遊コース」に入る。

さあヘッドライト点灯して、いざ大岳山へ。
と意気込んでみたが、本当に真っ暗で恐ろしくなってきた。
熊なんぞと遭遇したら、どうしよう?
熊ちゃん、静かに冬眠してておくれと祈りながら。
ひとり真っ暗な山道を進むと、5人組の登山者たちに追いついた。
ヘッドライトが5個あると、こんなに明るいのか。
こりゃあ有り難いと、このグループの最後尾にぴったりつき。
見知らぬお父さんと世間話などしながら進みますと、
徐々に登りがキツくなって来て急失速する5人組。
まあ、この辺りが潮時だなと。
「お先です」と5人組に別れを告げて、再びひとり旅。
ぐんぐんぐんぐん登って、ふと左手を見てみると。
眼下に広がるこの、百万ドルの夜景。
大岳山に登るのは2度目だが、こんなに夜景が綺麗だなんて。
昼間の登山では、想像も出来なかった。
カメラにこの素晴らしい夜景を収めたいところだが、
私のヘボカメラでは当然写せる筈もなく諦める。

更に暗い山道を登り続けると、
遠くからこちらに近づいて来るヘッドライトの光。
これがローソクの灯りなら、
「八つ墓村」だなとほくそ笑みながら進むと。
すれ違い様、「御岳山はこっちですか?」と尋ねられたので。
「はい、こっちです」と答えて別れたが、あの男性。
さて、どっから登って御岳山を目指しているのでしょう?
ホント不思議だなと、首を傾げ。
しばらく歩くとやっと、大岳山荘跡に到着。
ここまで来れば、もう着いたも同然。
一安心して水分補給していると、
張ったテントの前で焚き火をしている中年男性がひとり。
寒そうに身体を屈めて、コーヒー的なものを飲んでいた。
元旦の山登りは初体験だが、
ほんと色んな人がいるもんだと感心しながら更に進んで。
大岳神社脇を抜ければ、最後の岩登り。
この寒空に大汗かきかき、遂に登頂大岳山。
山頂には15名程の先客たちが、初日の出を撮ろうと。
広げた三脚にカメラを乗せて、東の空に向けて待ち構えている。
携帯電話を取り出して時間を確認すれば、午前6時10分過ぎ。
そのまま嫁に電話してみたら、何故か通じた。
ソフトバンクは全然ダメという悪評をよく耳にするが、
大岳山で電話が通じれば大したもんだ。

嫁に無事だと報告を済ませ、
彼女に準備してもらったホットレモン。
こいつを飲んで温まっていると、
たまたま座った岩の真っ正面。
うっすらこう、富士山が見えるじゃないか。
「山の神様、ほんの一瞬でいいから。
雲を除けて初日の出を拝ましてくださいまし」と、
本気で祈っている先客たちの声。
これはいい席を確保した、今年はどうも雲が邪魔をして。
初日の出はムリっぽいから、初富士を楽しもう。
それからじーと、
美しい富士の山を見つめて日の出待つ。
さっきまで大汗かいていた身体はすっかり冷え、
ホットレモンをおかわりして暖を取る。
おそらくこの山頂、氷点下6℃くらいじゃないのかな?
振り返って、周囲を見回してみると。
15名程だった先客たちがいつの間にか、
倍程に膨れ上がっていた。
男9、女1の割合。
山ガールたちはきっと皆、日の出山ですね。

午前6時30分過ぎ、東の空は徐々に明るくなったが。
やっぱり雲が邪魔をして、初日の出が見えない。
私は真正面に見える富士山を撮ろうと、何度もカメラを構えていたが。
突然、バッテリー切れマークが点灯。
充電して来たばかりのバッテリーなのに、何故?
あり得ないんだけど?
こんな大事な時に、カメラが使えないなんて。
きっと寒さのせいだろうと、バッテリーを取り出して。
手でこすって温めたら、少し残量が増えた。
広角のままだと撮影出来るけど、
ズームを使うと途端にシャットダウンする。
まったく正月早々、ツイてないぜ。
初日の出も拝めないし、カメラは絶不調だし。
これ以上ここに居ても仕方がないから、下山しようと。
立ち上がったのが、午前7時過ぎ。
岩場を下り、
大岳神社まで戻ると不思議な朝日が神社を照らしていた。
そうだったのか、この大岳神社は初日の出神社だったのかと。
感心しながら、更に下山する。

先日、
「登山詳細図・奥多摩東部」という新しい山の地図を購入した。
「山と高原地図」には掲載されていない(もしくは点線でしか掲載されていない)
ルートがいくつもあって、今日はこれを試そうと思う。
という訳で途中、「サルギ尾根」へ入って。
なんとなく、「上高岩山」の展望台に着いた。
ホントなんとなく着いた展望台だったが、これが大当たり。
360度近い眺望の展望台で、超素晴らしいのに誰もいない。
来年はここで初日の出を見た後、大岳山に登って初富士を見よう。
そうだそうしようと、カメラを取り出して素晴らしい眺望を撮影し始めたら。
どういう訳か、ズームも問題なく使えて。
すっかり、カメラの調子が戻っていた。
なんだったんだろう?
大岳山の呪いだったのか、ホント訳がわからない。
ここから「ロックガーデン」まで下る、謎のコースを試してみる事にしたのだが。
これがもう、とんでもない悪路で笑ってしまった。
随所に鎖と梯子が用意されていて、整備はされているのだが。
急勾配過ぎてホント、笑ってしまう。
いつか元気のいい夏の日に、この登りを試してみよう。

どうにかこうにかロックガーデに辿り着いて、
天狗岩を右手に御岳山へ戻ることにする。
元旦の早朝に何故か、ロックガーデンを歩いている。
不思議な感覚に浸りながら、凍った小川を写真に収めていると。
「おめでとうございます」と、声を掛けられた。
こちらも「おめでとうございます」と、挨拶したが。
見知らぬ人に、あけおめ挨拶するのって。
ホント、山ならではだと思う。
街でいきなり、
知らない人に「おめでとうございます」と声を掛けても。
頭のおかしい人だと思われて、無視されるだけだろう。
でもね、知らない人に。
「おめでとうございます」と挨拶するのって、悪くないぞ。
広めよう、知らない人におめでとうの挨拶ってかッ?

なんてんで更に進み続けると、ゴソゴソゴソゴソと大きな物音。
驚いて、山の斜面を見てみると。
私に遭遇してびっくりしたらしい子熊が、
斜面を駆け下りて行くのが見える。
恐ろしい、冬眠していないじゃないか。
子熊で良かった、親熊じゃあひとたまりもないぞ。
正月から顔面血だらけで、病院送りだ。
しかし、御岳山のこんな近くに熊がいるなんて。
油断大敵、熊注意。
注意一秒、怪我一生ってかッ?

うーんやれやれ困った、
五反田から毎年初詣に訪れる美術の佐々木先生と。
その内縁の奥さんで、演出家の八代さん。
11時頃、御獄の商店街で待ち合わせしているんだけど。
まだ、9時前じゃないか。
この後、日の出山にも登って下りてで11時前の計算だったが。
さすがにもう、くったくた。
真っ暗闇の登山って、明るい登山の倍疲れるな。
しばらく平尾平展望台で休憩して、
日の出山に登ろうか悩んでみたが。
やっぱりもう、登る体力が残ってないみたいだから。
御岳の集落でも散策して、
時間をつぶそうとぶらぶらあてもなく歩く。

しかし皆さん早起きですね、
元旦の朝っぱらから御岳山に来るは来るはの大盛況。
おそらくきっと、
高尾山はもっと大変な事になってるんでしょう。
山が流行るのはいい事なのか、悪い事なのか。
まあ、山の人はマナーが大変よろしいから。
いい事なんでしょうね、海が流行るより。
などなどと、写真撮り撮り散策していると。
午前10時過ぎ、
佐々木先生から「ケーブル駅に到着」との電話です。
御獄神社の入口で待ち合わせて、ベンチに腰掛けて待つ事30分。
皆さんが大変苦労する、ケーブル駅から御獄神社までの急登り。
やっぱり高血圧先生は遅かった、
「遅いよ先生、時間掛かり過ぎ」と文句をひとつ。
私は概ねクリスチャンだから、お二人で参拝して来てもらって。
佐々木先生行きつけ、「蕎麦処・紅葉屋」さんへ向かう。
もうなんだか知らないけど、
お腹がぺこぺこだから思わずカレーライスを頼んでしまったら。
「ここは蕎麦が美味しいんだから、
蕎麦食べなきゃダメだよ」と注意され。
佐々木ご夫妻の頼んだ、
味噌田楽とざるそばとをビールのあてにして。
ちっちゃいその、新年会です。

ボンカレーの味にそっくりなカレーライスを平らげて、
すっかり満腹大満足。
佐々木ご夫妻とは、ケーブル駅前でお別れして。
私は大塚山方面からとぼとぼ、下山です。
今日はひとつ、
大塚山の電波塔を左に折れる。
「鉄五郎新道」というのコースを試してみようと、思います。
これも「登山詳細図・奥多摩東部」で発見したコースですが、
これまた大変な急斜面でした。

御前山から奥多摩湖へと続く急斜面とか、
本仁田山の恐ろしい急斜面とか。
それに匹敵する程の急斜面を何度も滑りながら、
格闘する事約90分。
想像以上に時間も掛かったこのコース、2度とないなと心に決めましたが。
ふと、途中で挨拶を交わしたおじさんを思い出す。
あの人は下から全部登って来たのだろうか、凄いな。
結構、涼しい顔して登ってたけど。
そうだ、これを登らなきゃ。
あのおじさんに、負けた事になるじゃないか。
機会があればもう一度、ここを登りきってやると静かに誓い直して。
青梅線の古里駅に到着したのが、午後2時過ぎ。

御獄駅へ午前4時に到着して、早10時間余り。
長い長い、私の初日の出の旅が終わりました。
正月早々、身体の節々が筋肉痛って。
ホント、なんて爽快なんでしょう。
朝から酒飲んで、ゴロゴロする不健康な人生よサラバです。
これに懲りず、毎年の習わしにしますです。
あー、疲れた。

イワモケ