2012-07-04

下から富士山に登る

今年の夏は日帰りで富士山に登ろう、
と思い立ったが。
ご来光渋滞に巻き込まれるのは最悪なので、
夜間じゃなくて日中登ろうと思う。
往復で約10時間かかるらしいので、
その前に予行練習です。

てなわけで、
中央道日野から富士五湖線高速バスに乗って富士山駅へ向かうことにしたのですが。
この聞き慣れない富士山駅、
昨年の7月1日に富士吉田駅から改称されたばかりだそうです。
午前9時32分、
予定通りバスは1時間20分程で標高850mの富士山駅に到着。
ここから北口本宮富士浅間神社を抜けて、
標高2386mの六合目まで登ってみようと思います。
その標高差は1536m、
まあ予行練習としてはちょうどいいところですね。

金鳥居を抜けて約30分、
浅間神社に到着。
神社の脇を通り抜けると吉田口遊歩道に出ます。
2006年、
一時は荒廃していたかつての富士登拝道を整備して復活させた遊歩道だそうです。

いにしえの 富士講登山 いみじみと

なんてイメージだったのですが、
この遊歩道が実に単調でつまらない。
じわじわと、
微妙な登りがだらだら真っ直ぐ真っ直ぐ続く。
前を見て歩くと延々続く真っ直ぐな道に滅入ってしまうので、
足元を見て歩き続けました。

これを約90分、
「つまらん、つまらん」とつぶやきながら歩き続けますと中の茶屋に出ました。
ここから足元は舗装道に変わって、
時々横を車が通過して行きます。

これをまた約90分、
だらだら真っ直ぐ真っ直ぐ歩き続けますと。
やれやれようやっと、
標高1450mの馬返しに到着です。
しかしまあこの吉田口遊歩道、
あまりおすすめできません。
富士山駅から馬返しまでバスか出ているようですから、
これに乗るべきでしょう。
延々と真っ直ぐ続く遊歩道、
それも緩かに登り続けているので妙な疲れ方をします。
さほど景色も良くもありませんし、
などなどと心の中で文句を言っておりますと。
罰が当たったんでしょうか、
パラパラと雨が降ったてまいりました。

お腹も減ったし、
座るところを探してお昼にしたいと思います。

馬返しの駐車場を抜けて、
階段を上がると今は営業していない茶屋がありました。
「よかったら麦茶をどうぞ」と、
笑顔で誘ってくれたのは2名の観光協会ボランティアさんです。
座っていた先客の西洋人さんにも挨拶して、
ベンチに腰を下ろしました。

「山頂へ行かれますか?」と聞かれたので、
「いえ、今日は六合目までです」と私。
すると先客の西洋人さん、
麦茶を飲み干して立ち上がりました。
彼は今回、
二泊三日でゆっくり富士山を満喫するそうです。
二人のボランティアさんにお礼を言って、
その西洋人さんは登って行きました。

「やっぱり日帰りは厳しいですかねえ」と聞いてみると、
ボランティアさんのひとりが10年程前に昼間の日帰りをやられたそうです。

お鉢巡りなしの剣ヶ峰往復で、
やっぱり10時間。
帰りは膝がガクガクで、
かなりきついとのこと。
その代わりご来光狙いの夜間登山とは違って、
昼間はさほどの混雑はないそうです。

軽いお昼を済ませ、
雨合羽の準備をしていよいよ富士登山開始です。
「ゴミもどうぞ」と、
ボランティアさんが広げたゴミ袋へ食べたお昼の残骸を入れさせてもらって。
「ごきげんよう」と二人に別れを告げ、
歩き出したのはいいけれど。
止むどころか、
雨はいよいよ本降りです。
15時過ぎからパラパラと小降りの雨、
の予報だったのに。
ああしくじった、
今日じゃなかったと後悔しながら標高1700mの二合目廃墟に飛び込んだ。

廃墟にはまた、
先程の西洋人さんが先客で雨宿り中。
しばらく二人して、
雨の様子をうかがってましたが。
この雨、
止みそうにない。

富士の雨、
これも風情。
とはさすがに思えなが、
こうなったら雨を楽しむしかない。
しっかり水分補給して、
「ごきげんよう」と出発した。

登りはさほど急ではないが、
標高のせいか。
それともあの吉田口遊歩道のボディ・ブローのせいなのか、
結構足が重い。

それにしてもトレイルランな人々は凄いな、
先程から元気に駆け下りて来る数人と挨拶したが。
その顔をよくよく見てみると、
皆さん結構なお歳のご様子。
ほんと、
大したもんです。

降り続く雨もさほど気にならなくなり、
雨のお陰で大量に発生したマイナスイオンを吸い込みつつ標高2010mの四合目を通過。
さてどうしたものか、
六合目まで登るのを取り止めて。
五合目から脇へそれ、
富士スバルラインへ向かおうか。
そうすれば、
15時の新宿行き高速バス最終便に間に合うかも知れない。

よしそうしようと決めて、
ピッチを上げる私。
標高2300mの五合目で登山道を右にそれて、
スバルラインへと向かう舗装道路を大股で進むと。
単独行登山客らしき、
ひとりの西洋人さんに道を聞かれた。
新宿に帰りたい彼は逆方向へと向かっていたので、
こっちこっちと一緒にスバルラインへと向かう。

またしばらく大股で進むと、
六合目へ向かう登山道の入り口に団体登山客。
今日は七合目か八合目の山小屋で仮眠して、
ご来光アタックですね。
くわばらくわばら、
やっぱり私は日中の日帰りを目指します。

富士山駅を出発してちょうど5時間、
標高2304mのスバルラインのバスのりばに到着。
その標高差、
1454mです。
剣ヶ峰の標高は3775mだから、
五合目からの標高差は1471m。
標高差はほぼ同じですが、
気圧と直射が体力を消耗させるのでしょうね。

今日のコースはガイドブックによると7時間、
これを5時間で登れましたので。
五合目と剣ヶ峰の往復も、
なんとか7時間くらいでおさまらないものかしら。
帰りのバスの時間があるので、
7時間目標で往復したいな。
その為にはもう少しパワーが必要です、
富士登山1週前に奥多摩で調整登山をした方が良さそうです。
標高1736mの鷹ノ巣山、
調整に絶好かも知れない。
まだ登ってないし、
登っちゃおうかな。

富士急行のチケット売り場で15時発新宿行き最終バスのチケットを購入して、
近くの食堂に入った。
350円のホットコーヒーを頼んで、
食堂の片隅で着替えをさせてもらった。
ここまで本格的な雨の登山は初体験でしたが、
慣れると雨って気になりませんね。
雨に慣れれば、
大人の山も平気です。
来年はひとつ、
北岳あたりを目指そうか。

などなどと、
富士山を飛び越えて北岳に思い馳せておりますとバスの出発時間。
食堂を出てバス乗り場に向かいますと、
新宿行きの最終バスは西洋人さんばかり。

途中で道に迷っていた、
あの西洋人さんはいるかしらと探してみたが見当たらなかった。

バスに乗り込んで、
見渡してみたら私が唯一のアジア系です。

どうしたんでしょう?
西洋方面で、
富士山が大ブレーク中なんでしょうか?
背中に大きく「富士山」とプリントされた赤いトレーナーを着た西洋男子、
そのトレーナーが妙にお洒落で欲しいなと思った次第です。

8月の日帰り富士登山、
頑張りまっする。

イワモケ

富士急・富士山駅→北口本宮富士浅間神社→東富士五湖道路→中の茶屋→馬返し→一合目→二合目→三合目→四合目→佐藤小屋→泉ヶ滝→富士スバルライン五合目

[登山時間=約5時間] 距離=14.2km 最大標高差=1538m