2010-11-22

奥多摩むかしみち

彼にはじめて会ったのは2001年の夏でしたから、
あれからもう9年になりますか。
わたしが1年だけ住んだ山口県のトある島に、
父であるプロデューサーE氏に連れられて、
遙々東京から遊びにやって来たのでした。

あのちっちゃいのが、
いつのまにか中3です。

その中3が先日、
彼女と高尾山に行きまして、
山歩きの楽しさに目覚めたそうです。

中3の下に中1と小5の弟が2人いまして、
今回E氏の依頼を受け、
兄弟3人と彼女ひとりを引き連れまして、
秋の奥多摩を満喫してもらうべく、
観光ガイド役を勤めさせて頂くことになりました、
山モケと申します、
どうぞよろしく。

E氏とは昔、
調布から新潟は糸魚川までのバカチャリ旅行をしましたが、
最近は膝の状態が芳しくないので、
山を登るのは無理だということです。

当初はバスとケーブルカーで御獄山まで行き、
子どもたちだけを引き連れて、
日の出山でも往復しようかと思いましたが、
これじゃあどうにも面白くないから、
終点の奥多摩駅まで行き、
奥多摩湖を目指して、
割合平坦な「奥多摩むかしみち」を歩くことにしました。

とは言え、
全部歩きますと4時間はかかるコースなので、
短縮版の2時間コースを楽しむことにします。

さて、
当日の日曜日。
昨晩ディナーでいただいた、
インドレストランのカレーがいけなかったのか、
早朝から嫁が下痢と嘔吐です。
わたしも一緒に食べましたが、
こちらは別段問題ありません。
なんなんでしょう?
原因不明ですが、
うちで養生しててもらうしかありません。

というわけで嫁を置き去りにして、
わたしが住む最寄り駅でもってE氏御一行様と合流しまして、
乗って来た車は田舎値段の駐車場に入れ、
出発です。

E氏に教えられた、
「イワモケ」という響きが面白いらしく、
「イワモケ、イワモケ」と、
子供たちに連呼されながら電車に乗りまして、
奥多摩に向かいました。

青梅駅から奥多摩駅まで、
ドアの開閉は押しボタン式です。
東京23区から来た子供たちには当然それが珍しく、
興味津々の様子でした。

E氏のうんこ待ちやらなんやらで、
奥多摩駅に到着したのが、
お昼近くになってしまいましたから、
駅前で軽食と飲料水とを各自購入しまして、
12時25分発のすし詰め状態のバスに乗り込み、
15分程で境橋というバス停に到着して、
途中下車しました。

バスを降りた橋の下には、
絵に描いたような渓谷が広がっています。
子どもたちは「すごいすごい」と大喜びしながら、
各自のデジカメで撮影大会です。
実はわたし、
「奥多摩むかしみち」は初体験で、
山と高原地図と現地の道しるべが頼りです。
まずは白髭神社を目指して歩くはずなのですが、
「白髭神社こちら」的な道しるべがなにもなく、
しかたなく全長359メートルの白髭トンネルを抜けて、
「むかしみち」に入ることにしました。

帰ってから調べてわかりましたが、
白髭トンネル脇の道をのぼれば「むかしみち」に合流でき、
白髭神社に立ち寄ることも出来たようです。

まあ、
なにはともあれ、
無事「むかしみち」に入ることが出来ましたので、
あとは道しるべ通り歩き続けるだけです。

この「むかしみち」というのは、
新しい青梅街道ができたために、
すっかり交通がとだえた旧青梅街道のことです。
江戸と甲州とをむすぶ道で、
甲州街道に対して、
甲州裏街道とも言われていたそうです。

紅葉した山々を見ながら歩き出しますと、
子どもたちから、
「イワモケ、歩くのはや過ぎ」
というクレームです。
やっぱり子どものペースじゃあ、
2時間は無理だなとあきらめて、
少し歩いては振り向いて待つ作戦に変更します。

ひとり山歩きばかりやっていますと、
どんどんペースが早くなりますから、
たまにはこんなのんびりペースも良いものです。

惣岳渓谷の深い谷に渡されている、
しだくら橋と言う吊り橋を恐る恐る渡ります。
確かに「5人以上禁止」ということだけあって、
揺れ方がリアルに恐ろしいのですが、
子どもたちは飛んだり跳ねたりの大はしゃぎでした。
吊り橋を渡ったところでレジャーシートを広げて、
軽食タイムです。

歩いていると汗ばむくらいの陽気ですが、
座り込むと急に寒くなります。
あまり長く休んでいると風邪を引きそうなので、
出発します。

縁結びの地蔵尊とか、
馬の水のみ場とか、
むし歯地蔵尊とか、
各所に説明看板があり、
それを毎回小5くんが大声で読みます。
読めない漢字は適当に読むから意味不明ですけどね。

国道411号の中山トンネル脇から、
舗装された道路が山道にかわりました。
1時間以上歩き続けた後の山道、
E氏を気づかいながらゆっくりと登り続けますと、
中山集落です。

中1くん、
昨日スクワットを100回やったせいで、
太股が痛くて、
E氏が持参した登山用の杖を手放しません。
小5も中3もその彼女もペースがどんどん落ちて、
「イワモケ、あと何分?」を連発しています。
山道と格闘すること約30分、
奥多摩湖を一望できる場所に、
青目不動堂という休憩場があり、
食事もできるようなので、
ここで遅い昼食をいただくことにしました。

うどんはあとひと玉、
そばはあと5玉、
白米のおにぎりはあとふたつ。
焼き餅は割とあるそうです。
とにかくあるものを全部注文しまして、
大人たちは、
とりあえずビールで乾杯です。

まあ、
小一時間休憩して、
あたりもすっかり薄ぼんやりしてきましたから、
最後の力を振り絞って下山です。

坂を下りきると国道に出て、
西東京バスの水根バス停に着きました。
タイミング良く時刻表にない臨時バスがやって来て、
それに乗り込んだら、
すいすい15分程で奥多摩駅到着です。

奥多摩駅の公衆トイレで小便などをして、
発車まであと3分の電車に乗り込んだ、
までは良かったけれど、
3兄弟が例の開閉ボタンで遊びだして、
ホームに中3と小5とを置き去りにして、
静かに電車が走り出してしまった。

結局、
次の白丸駅で降りて、
待つこと20分。
やっと合流して、
全員電車で爆睡してたら、
あっという間に青梅駅。

青梅からふた駅、
朝乗ったわたしの最寄り駅で降りて、
駅前にある温泉にたち寄って、
温泉内にある食事処で夕食をいただいて解散です。

駐車場でお見送りをして、
家に戻ったらもうぐったり。
嫁の健康状態も回復したようで、
安心して爆睡しました。

イワモケ

E氏のビールは、
サウナですっかりぬけましたので、
飲酒運転ではありません。
あしからず。

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