2012-09-24

倉戸口~倉戸山~鷹ノ巣山~石尾根縦走~奥多摩駅

加藤文太郎という、
「単独行」でお馴染みの明治生まれの登山家。
槍ヶ岳冬季単独登頂や、
富山県から長野県への北アルプスの単独での縦走など。
単独行で、
数々の積雪期単独登頂を果たした方ですけど。

1日12時間の山歩き、
これを1週間続けるとか。
もう、
とんでもない体力の持ち主だったようです。

さすがに近々51歳の誕生日をむかえる私に、
12時間歩行を1週間は不可能でしょうが。
訓練次第では1日12時間の山歩き、
可能かもです。

昔々は、
4時間程度の山歩きで膝が痛くなっていた私。
それが今では、
5時間6時間歩いても余力を残してた下山できるようになりました。
更にこの調子で9時間10時間11時間12時間と山歩き時間を延長できれば、
かなり辺鄙な山からでも日帰り大縦走ができて素敵ですから。
12時間の山歩きをしても無事生還できるような体力と技術を身に付けるべく、
特訓を開始しようと思う次第です。

その第1弾は、
倉戸口から倉戸山(1169m)を抜けて鷹ノ巣山(1736m)に登頂し。
水根山から城山、
六ッ石山を抜けて石尾根を奥多摩駅まで縦走する。
距離=約21km最大標高差=約1375mのコースを、
登山時間8時間20分目標でがんばりまっする。
9月22日の旗日は生憎の曇り空でしたけど、
気温はぐっと下がって涼しく快適でした。

8時35分発の鴨沢西行きバスは大盛況のため、
1台増発したのに超満員です。

立ったままバスに揺られて約20分、
倉戸口というバス停で初めて下車しました。

バス停にはおじいちゃんの隊長と数名のおばあちゃんの登山部員が、
地図を広げて困惑顔。
それでいきなり、
おじいちゃん隊長に倉戸山の登山口はどこかと尋ねられましたが。
こちらも初めてなので、
その旨お伝えしますと大変がっかりしたご様子。

バス停近くに「倉戸山こちら」の道標が見えましたので、
このまま道なりに進めばよろしんじゃないでしょうかと告げまして。
絡むと厄介そうだったので、
そそくさ先を急ぎます。

道なりに進むと「倉戸山こちら」の道標がいくつもあって、
問題なく登山口である「温泉神社」に到着できました。
これならまあ、
先程のおじいちゃん隊長も迷うこともないだろうと一安心。
本日は熊の生息地域にお邪魔するわけですから、
熊よけに笛をぶら下げて参りました。

初っ端の急坂を登り始めると先の方で物音がする、
念のためと思って強く笛を吹いて熊に挨拶してみたら。
物音は熊じゃなくて、
7人程のグループ老人たちが登る足音でした。
しかし皆さんお耳が遠いのか、
全く笛の音に反応しない。
耳の遠い老人熊には、
音で警告を発しても効果がないかも知れないぞと少々不安になりましたが。
まあ心配しても仕方がないから、
熊に遭遇しないことを祈りつつ。
お先に失礼しまっすると、
老人の皆さんを追い抜いて先を急ぎます。

急傾斜のキツい登りに大汗流し、
倉戸山に到着したのが登山開始から1時間15分。
このペースなら、
鷹ノ巣山頂でお昼を食べられそうだと安心して更に先へと進みますが。
この辺りから霧が立ち込めて、
なんとも幻想的な世界になってまいりました。
霧に包まれた風景が面白くて、
夢中で写真を撮っていたら。
登山開始から3時間と10分、
あっという間に鷹ノ巣山に着いちゃった。
だがしかし、
この霧と曇り空のために見えるはずの雄大な景色はさっぱり見えない。
鷹ノ巣山の頂上プレートもなんだか素っ気なくて、
すっかり拍子抜けです。

道標の前で地図を広げてルート確認していたら、
稲村岩尾根方向から登ってくる女性登山客がひとり。

この稲村岩尾根というのは、
奥多摩3大急登りのひとつです。
これの他に、
以前登って死にそうになった本仁田山と。
六ツ石山の南側、
水根集落からトオノクボの急登りがあるそうです。

いつかこの奥多摩3大急登りを制覇しようと思っておりますが、
本仁田山がホントにキツかったので躊躇しています。

で、
どうなのよと。
稲村岩尾根方向から登って来た女性に挨拶して、
登りのキツさを尋ねてみたら。
確かに急ではあるが、
ギブアップしたくなるような急登りではないとおっしゃる。

そうか、
それならば是非ちゃんれんじせねば。
ありがとうございますと一礼して、
適当な場所を陣取ってお昼にします。

お昼と言っても最近は、
ヤマザキの5個入り薄皮あんぱんで済ませております。
腹持ちも良く、
糖分も補給できて一石二鳥です。
おまけに安いし嵩張らないしで、
大変重宝しております。

がしかし、
山頂で素っ気なくアンパンなんぞ食べてるのは私だけで。
他のみなさんは、
ガスバーナーでインスタントラーメンなんぞ作って食べていらっしゃる。

先程、
稲村岩尾根について話してくれた方。
この方までも、
いつもの間にか用意したカップ麺なんぞをすすってらっしゃる。
確かに山頂は肌寒いくらいだけど、
ここに来てまでラーメンかい?

と、
毎回この光景を目撃する度に違和感を覚えるのは私だけなのでしょうか。
まあ好き好きだからいいですけど、
それではみなさんさようなら。
先程の女性にも挨拶して、
鷹ノ巣山避難小屋へ向かってみることにします。

あえて鷹ノ巣山避難小屋へ出て、
巻き道で水根山に戻ろうと思います。
このまま鷹ノ巣山避難小屋を越えて歩き続ければ雲取山に到着するわけで、
それもいいなあと一瞬ルート変更も考えましたが。
雲取山から下山して、
いつ来るとも知れぬバスを待つのは勘弁なので。
予定通り、
このまま奥多摩駅を目指すことにします。

鷹ノ巣山避難小屋は御前山の避難小屋と同じような作りで、
とてもきれいです。
いつか遭難したらここに泊まらせていだきます、
その時はひとつよろしくお願いします。

水根山から城山、
将門馬場とを抜けて六ツ石山分岐に出ました。
ここをトオノクボ方向へ下ると例の奥多摩3大急登りです。
まあ、
この場合は急下りですけど。
そんな恐ろしい急坂を下るわけもなく、
通り越して先へと進みます。

霧は更に濃くなって、
3メートル程しか先が見えません。
突然前方に登山者が浮かび上がって、
こんにちはとお互い挨拶する。
一間置いて、
後に振り向いて見てみるともう見えません。
なんだか幽霊と遭遇したみたいでとっても面白い、
これはもう「雨月物語」の世界です。
話は変わって私が高校2年生だった頃の話、
友人たちと野沢温泉へスキーに出かけましたが。
私は生まれてはじめてスキーを滑るというのに、
スキーのうまい悪友たちにいきなり上級者コースに連れて行かれた。

滑るのは問題なかったのですが、
止まることができない。
何度も何度も転んだ後、
とんでもなくひどい転び方をして。
レンタルスキーの板と靴がうまく外れてくれず、
呆気なく左足首を骨折してしまいました。
その骨折のせいで陸上部も退部し、
偉大なスプリンターになる夢を諦めましたが。
それからどうも左脚をかばうようになって、
右脚に比べて左脚の筋肉の付きがよろしくない。

これが原因で4時間5時間と山を歩き続けますと、
左脚の膝裏がちょいちょい痛くなる。
今日も徐々に痛くなってきて左脚を右脚でかばうものだから、
右脚の付け根までも痛くなってくる始末。

12時間歩き続けるためには、
この左脚問題を解決する技術と筋肉が必要です。
筋トレとか嫌いだけど、
左脚中心の筋トレを開始して右脚と同じ太さの筋肉を作り直す必要があるのかも知れません。

三ノ木戸山(1177m)を越えると、
かなり足元がぬかるんだ道。
危ない危ない滑る滑ると慎重に下っていたのにもかかわらず、
見事にすってんころりで泥だらけ。
登山開始から約6時間、
さすがに疲れているのでしょうか。
踏ん張りきれなかった自分を情けなく思いつつ、
もっと疲れない下り方を会得しなくてはいけないぞと強く反省するのでした。

今日も元気にトレイルラン、
彼等は短パンいっちょうで駆け下りて行きます。
山の中を30キロも平気で走る、
彼等のスタミナにはホント頭が下がります。

では私も真似をさせていただいてと、
ぬかるんだ下り坂を駆け下りてみましたら。
こちらの方が接地時間が短くて、
転ぶリスクが少ない。

おう、
まだまだ元気があるじゃないか俺。
さあラストスパートだぜぃと、
そのまま調子に乗って駆け下りましたら。
あっという間に登山道は終わり、
奥多摩駅に向かう舗装道路に出ました。
この道は奥多摩駅のどこへ出るのだろうと考えながら下り続けますと、
「タイムズマート」という超マイナーなコンビニの脇に出ました。
ああそっか、
ここに出るのかと感心しつつ。
奥多摩駅に到着したのが、
登山開始から7時間10分。

ここから更に5時間近く歩いて12時間か、
そう考えるとぞっとしますが。
プラス1時間プラス1時間とコースを延ばしてゆけば、
きっといつかは12時間歩けるようになる筈です。

60、70になっても山で遊べるように頑張りまっする。

イワモケ

毎日の 鍛錬大事 蟻歩み

JR青梅線・奥多摩駅→バス→倉戸口→温泉神社→倉戸山(1169m)→榧ノ木山(1485m)→水根山(1620m)→鷹ノ巣山(1736m)→鷹ノ巣山避難小屋→水根山→六ツ石山分岐→三ノ木戸山(1177m)→JR青梅線・奥多摩駅

距離=約21km 最大標高差=約1375m

[登山時間=7間10分]