2012-12-17

鴨沢BS~雲取山~鴨沢BS

12月13日(木)快晴。
午前7時奥多摩駅発丹波行きバスに乗り込み、
奥多摩の最高峰である雲取山(2017m)を目指しまっする。
日帰りで雲取山に登るなんて無謀なこと、
2年と4ヶ月前の自分には想像もできなかったです。

つまりはその、
青梅に越してから2年と4ヶ月目ですが。
年齢とは反比例して山登り体力がぐんぐんついていますし、
山登りの技術も格段に向上していますから。
そろそろ今シーズンから、
奥多摩の雪山にも挑戦したいと考えています。

只今の雲取山、
山頂付近に若干の積雪がある程度だそうです。
登山靴で登れそうだとも思いましたが、
先シーズン雪の高水三山で試したスパイクピン付き長靴で登ってみようと思います。

雪のない山をスパイクピン付き長靴で登るなんてとお思いでしょうが、
登山靴より実は登り良いのではないかと前々から思っておりまして。
いつか試してやろうと、
そのチャンスをうかがっておりました次第です。

雪のありなしでアイゼン脱着を繰り返すのは大変面倒なので、
アイゼン購入をずっと躊躇している私です。
沢登り用のスパイクピン付き登山靴というのも存在するそうですが、
今回良かったら購入を考えてみたいと思います。

午前7時35分、
標高540mの鴨沢バス停に到着。
一緒に乗車していた5人の登山客たちはもっと奥へと行くらしく、
ここで下車したのは私ひとりでした。

バス停脇に設置された衆議院選挙のポスター掲示板、
全く見覚えのない顔ばかりです。
あれれと、
よくよく見てみると山梨県丹波村とあります。

ああそうか、
鴨沢って東京じゃなくて山梨なんだと改めて認識しました。

バス停脇にある綺麗な公衆トイレで小便をしたり手を洗ったりで、
出発準備を完了したのが午前7時45分。

公衆トイレ横の電柱に設置された道標に従い、
民家の間を登って行くと。
いきなり30匹程のニホンザルたちに出くわしたもんだから、
びっくり仰天でもって後退り。

サルたちは飛んだり跳ねたり、
縦横無尽でやりたい放題。
写真を撮ってやろうと何度もシャッターを押しましたが、
サルたちの動きが俊敏過ぎてまともに撮れたのはこの1枚のみです。
初めて登る中級クラスの山は、
熊との遭遇が心配でどきどきします。

今回、
奥多摩湖のお土産売り場で購入した熊よけの鈴をリュックに付けて来ましたが。
どうも音が小さい気がして心配なので、
いつものようにホイッスルを吹きながら進みます。

ニホンザルに意表をつかれ、
もしかして次は熊かと心細くなっております。
おまけに平日の登山道には誰もいないし、
本当に私はひとりぼっちです。
もしここで熊と出遭ったらというシュミレーションを色々思い描いていたら、
30分程で車道に出てしまいました。

車道を少し進むと駐車場があり、
数台の車が駐車されています。

出発前に参考にしたヤマレコ、
これに掲載されていた記事の多くが鴨沢駐車場スタートになっていた理由がようやく理解できました。
車の人は往復50分程登山時間が短くなるし、
バスの時間も気にしなくていいしで。
鴨沢~雲取山ピストンなら断然車が便利だからなんだなと納得しつつ、
更に進んで小袖乗越に到着。

道標に従って、
再び登山道に入ります。
道筋がしっかりとしていて、
歩き易い登山道です。
1時間程歩くと、
ベニアに「水」「水」とペイントされた貧乏くさい看板。
飲料水はたっぷりあるので、
そのまま通過して。
更に45分程進むと堂所と呼ぼれる小さな平地に着きましたが、
まだまだ先が長いので休まず歩き続けます。

すると左手に雄大な富士山が見え出して、
なんともステキです。
「七ツ石小屋方面近道」の小さな道標に従って、
長い長い急勾配を登り始めます。

急勾配と格闘すること30分余り、
ようやっと七ツ石小屋に到着。
素泊まり3500円の完全予約式山小屋だそうですが、
今日は閉鎖していました。

この小屋から見える富士山と南アルプス、
なかなかです。
七ツ石小屋の前の急勾配を10分程登るとブナ坂に到着、
ここから山火事の際に延焼を防ぐために設けられた幅広の防火帯道を登り始めます。

ここらは昔、
山野草が豊富な所だったそうですが。
増えた鹿に食い尽くされて、
ほとんど絶滅したそうです。

小さなアップダウンを繰り返しながら、
ヘリポートや五十人平を過ぎると町営の雲取奥多摩小屋に到着。
その先に見えるのが、
避難小屋のある雲取山頂へと続く最後の急勾配です。
前を歩いていたグループが雲取奥多摩小屋の前のベンチで休憩していましたが、
私はそのまま歩き続けて最後の急勾配にアタックです。

バス停からここまで4時間弱、
しかしまあ長い。
前半はなんてことのない登りでしたが、
七ツ石小屋への近道と称する急勾配からはかなりキツイコースです。
そしてこの、
最後の急勾配がまたキツイ。

あまりの急勾配の連続で大汗かきかき、
七ツ石小屋の手前からずっとリュックにダウンジャケットをぶら下げて登り続けております。
今日の最高気温は氷点下8℃らいしのですが、
体感として氷点下8℃という実感はまったくないです。

標高540mの鴨沢バス停を午前7時45分に出発した私は、
正午ちょうどに2017mの雲取山山頂に到着しました。
その標高差は1477mで、
登頂時間は4時間15分でした。
4時間もあれば余裕で登れると思っていましたが、
まさかの15分オーバーです。

それにしても雲取山、
さすがに手強いぞと感慨に浸っておりますと。
「すみません、写真いいですか?」と、
またいつものアレです。

他人のカメラのシャッターなんぞ、
ホント押したくはありませんが。
現在山頂にいるのは、
彼と私とふたりっきり。
この状況で「嫌です」と断固拒否するのも逆に面倒ですから、
「はい撮ります、321」でパシャです。

「ありがとうございます、撮りましょうか?」ときたもんだから、
「いやいや私は結構です」とお断りさせて頂きました。

「私は他人のカメラのシャッターを押すのを断固拒否します」
というスローガンを印刷してリュックに貼り付けたいものです。

さすがに立ち止まると山頂は寒いので、
雲取山避難小屋でランチすることにしました。

山頂と避難小屋がこんなに近いのって珍しいなあと思いつつ、
木製の二重扉を開けると先客がひとり。
立派な一眼レフを抱えた初老の男性、
ガスバーナーでお湯を沸かしてカップラーメンを食べようとしていました。

「こんちわ」と挨拶して、
私は長靴を脱いで奥の日が射す窓際に座る。

とはいえ最高気温が氷点下8℃ですから、
部屋の中でも息が白いです。

持参したポットを傾けて簡易カップ式コーンスープの中へお湯を注ぐと、
あっという間に温かいスープの出来上がり。

ガスバーナーのおじさんもカップ麺の準備か完了したらしく、
ズルズル麺をすする音が避難小屋に響きます。

私もスープをすすりながら、
帰りのバスの時間を確認中です。

頂上から雲取山荘へと寄り道して、
雲取山荘から巻き道で小雲取山に戻って下山する予定なので。
余裕のある下山時間を考えると、
雲取山荘から4時間。

13時6分頃に雲取山荘を出れば、
17時6分のバスには余裕で間に合う計算です。

調子が良ければ3時間弱、
16時3分のバスもある。
頂上から雲取山荘まで20分、
食べ終わったらすぐ出発しなきゃです。
なんだかもう忙しいなあ、
着いたばっかなのになあ。
夏ならもうちょっとゆっくりできるけど、
今はもう3時過ぎると暗いからさ。

しょうがないなと立ち上がり、
長靴履き直して「お先で~す」と避難小屋を後にしたのが12時35分。
避難小屋のトイレを借りようと思ったら故障中、
我慢できないこともないから我慢我慢で雲取山荘目指して下山開始。

雲取山荘へと続く登山道はしっかり雪道でしたから、
履いてきたスパイクピン付き長靴で楽しく駆け下ります。
長靴って濡れる心配もないし、
ホント便利。
やっぱり雪道は楽しい、
また機会があればたっぷり雪のある時に雲取山に登ってみたいです。

20分程雪道を下ると、
素泊まり5000円の雲取山荘に到着。
なかなか立派な山荘です、
いつか泊まって雲取山をゆっくり散策したいな。

一旦下りて来た道を戻り、
分岐で小雲取山へと続く巻き道に入る。

こちらは完全な日陰道で、
更にたっぷり雪が残っています。

雪を見たり触ったりすると妙にテンションが上がるのは、
雪国生まれじゃないせいなのか。
スキップしなが駆け下りて、
30分弱で小雲取山に到着。
頂上へと続く最後の急勾配を見上げて、
今からもう1度登るのはもうムリだなとつぶやいてみる。

あとは下るだけだ、
とんとこ行くぜ。

てんでとんとこ下って行くと、
自転車に乗った登山客と遭遇。
すげえ、
自転車担いであの急勾配を登りますか。

うーん、
いろんな人がいます。
長靴で雲取山に登る私もいろんな人のひとりですが、
いろんな人がいるから世の中面白い。

とんとことんとこで、
ブナ坂を過ぎて七ツ石山(1757m)の先の鷹ノ巣山へと続く分岐に到着。
ここから鷹ノ巣山方向へと進み、
鷹ノ巣山を越えて石尾根縦走路で奥多摩駅を目指すことができます。

来春には、
雲取山~奥多摩駅の大縦走を達成したいなあ。
冬のシーズンも引き続き月1ペースの山登りを続ければ、
新緑の春にはすでにもう絶好調間違いなしだ。
5月にいきなり大縦走できるに違いない、
などなどと来春の大縦走に思いを馳せていると七ツ石小屋に到着です。

七ツ石小屋のトイレを借りようと思って、
同じ道で戻ったのですが。
ここのトイレは1回100円で、
おまけに超汚い。
その汚さに尿意も吹っ飛んで、
鴨沢のバス停まで我慢することにしました。

七ツ石小屋の入り口にぶら下げられた500円の記念バッヂ、
山を愛する人に泥棒はいませんからと。
お金はそこの缶に入れろとあるが、
流行の防犯カメラもないし。
売れたバッヂの数と、
缶に入れられたお金の帳尻はきっと合わないのだろう。
それとも500円の中にしっかり含み損が含まれていて、
損はしないようになっているのだろうか。

まあいいや、
別にバッヂなんぞ興味もないし。
問題はバスの時間と小便、
とっとと下りるっぺ。

七ツ石小屋へと続く急勾配、
登りもキツかったが。
大小の石がゴロゴロした足元で、
下りはもっとキツイぞ。

長靴は急勾配に不向きなのか、
足の親指に激痛が走る。
横向きで痛みを軽減して、
どうにかこうにか急勾配を下りたが。
親指が痛くて痛くて、
うまく歩けない。

痛い親指を丸めて、
爪が長靴内側とできるだけ接触しないようにしたら痛みが消えた。
よしこれだと、
親指を丸めたままとんとこ再開。

16時3分のバスに間に合うのか間に合わないのか、
とっても微妙なカンジ。
17時6分だと間に合い過ぎで、
最悪は16時10分くらいにバス停に到着するパターンだな。

17時6分に乗るつもりでゆっくり下ろうか、
いやいややっぱり16時3分だと葛藤しながら下り続け。
駐車場のある小袖乗越に到着したのが、
15時45分過ぎ。

駐車場では、
帰り支度して車に乗り込む2組の登山客たち。
車はいいなあ、
歩きはここからあと20分だぜぇ。

間一髪間で合わないパターンかもしれない、
諦めて丹波村をゆっくり散策してみるかな。

いやいや
もう日も暮れるし。
丹波村を1時間散策なんて、
とっても間がもたない。
ここは勝負、
走れ走るんだってんで。
20分の下りをすたこらさっさと駆け下りて、
なんとか3分前にバス停に到着。

結局薬局の登山時間は8時間15分でした、
バスの時間を気にせずにゆっくり下りたら9時間弱だったかな。

今回のコース、
地図上計算だと9時間20分。
いつもは地図上計算の8掛けなんだけど、
全然8掛けじゃなかったです。

腐っても雲取山、
長靴で登ったらアカンぜよ。

イワモケ

JR青梅線・奥多摩駅→バス→鴨沢BS→小袖乗越→堂所→七ツ石小屋→ブナ坂→奥多摩小屋→小雲取山(1937m)→雲取山(2017m)→雲取山荘→小雲取山→奥多摩小屋→ブナ坂→七ツ石小屋→堂所→小袖乗越→鴨沢BS→JR青梅線・奥多摩駅
距離=26.7km 最大標高差=1477m
[登山時間=約8時間15分]