名古屋に、今池という街があります、
東京で言うと池袋ですかね、
規模は全然小さいですけど。
その今池にあった名画座。
高校生の頃の話ですから、
劇場の名前はもう忘れてしまいましたが。
通っていた高校が同じ地下鉄のライン上にあり、
定期券を使って途中下車できましたから、
よく通いましたです。
ここはATG映画専門の名画座でして、
客席はいつもガラガラでした。
高校生ですから試験とかあります。
中間とか、期末とか。
この試験週間は絶好の映画週間でもあり、
昼間っから映画を観まくっていました。
そして、この今池ATGで。
大島渚だの、吉田喜重だの。
観るわけです。
普段の夜でもガラガラですから、
平日の昼間なんて、
概ね客はわたしひとりでした。
ですから、
わたしと映写技師のおっちゃんと、
1対1で映画を観るわけです。
ATG映画というのは、
なんだか知らないけど、
絶対どこかでオッパイ出すんです。
こちらは学校帰りですから、学ランですよ。
マズいカンジじゃないですか、
学ランの高校生が昼間っから、
堂々とオッパイ見るというのは。
特に愛知県は教育バカ県ですから、
青少年育成なんとかカントカ、
ですよ。
それで、
画面にオッパイが映ると、
映写室から強い視線を感じるんです。
さりげなく振り向いて映写室を見上げてみると、
やっぱりおっちゃん、
わたしの事を監視するように映写室から見ています。
こちらは間違ってもボッキなどしないように、
平静を装ってオッパイをチラ見します。
おっちゃんはおっちゃんで、
わたしを監視し続けています。
客はわたしひとりですが、
とても緊張感のある上映です。
そんなおっちゃんとの真剣勝負、
なんだか楽しかったなあ。
と、
思い出してみました。
イワモケ
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