当時友人たちとバンドを組んでいたわたし。
どうしてもベースとアンプが買いたくて、
夏休みにアルバイトをすることにしました。
とは言え、
ベースとアンプを買う為には10万円近いお金が必要です。
そこで、ドカチン(土木作業員)をやる事にしました。
父親の友人が建築会社の社長をしていましたので、
そのコネで中学生のわたし。
ドカチン、デビューです。
日給は7千円、中学生のバイトとしては破格です。
2週間働けば、目標達成です。

鼻の赤いおっちゃんたちは優しく。
腰を悪くするから、あんまり真剣にやるなと注意され。
なまぬるーい仕事で、まったく疲れませんでした。
ある朝、
「今日は遠出すっから乗りな」
と言われ。
トラックの助手席に座りました。
トラックの荷台には、
山積みにされた古タイヤがあります。

山を切り開いた造成地に到着しました。
今日は古タイヤを穴に埋めるの作業だと言われ。
おっちゃんとふたりで大量の古タイヤを、
大きく掘られた穴に並べ続けました。
夕方には作業は終わり、
空のトラックで帰りました。
帰りの車中、
おっちゃんが教えてくれました。
さっき捨てた古タイヤの上に土をかぶせてな、
キレイにならしたら家建てんだ。
何も知らずにな、その家を買うヤツ。
かわいそうだな。
まあ、俺には関係ないけど?と。

家が傾くだろう?
それから、ずっと気になっているんです。
わたしが埋めた、古タイヤの上に住んでいる人のことが。
あれから、どうなってんだろう?
しかし、
まったく思い出せないんです。
そこがどこだったのか。
愛知県であることは、確かなんですけど。
イワモケ
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